四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『開花宣言』

2023.03.17

3月14日、東京の桜の「開花宣言」が出されました。2020年、2021年と並んで「史上最速タイ記録」というニュースをやっていました。平年よりも10日早いそうです。


ちょっと気になったので調べてみました。私が小学校を卒業して中学校に入学した年の、東京の「桜の開花日」と「桜の満開日」を。「開花日」が4月3日、「満開日」が4月10日、でした。今年の「開花日」は3月14日、「満開日」は3月21日前後と予想されていますので、半月以上早くなっているわけです。私のときは中学校の入学式がちょうど桜満開の下で行われたことになりますが、今年の小学6年生は、桜満開の下での卒業式となります。


「卒業式」も「入学式」も新生活へのスタートという意味では同じイメージもありますが、卒業式は「別れ」、入学式は「出会い」という意味合いも持っていますので、「桜」の記憶やイメージもそれによって幾分か変わってくるように思います。皆様の「桜」のイメージはいかがでしょうか。以前、東北地方出身の職員と話をしていたときに、「桜って卒業式のイメージあるじゃないですか。あれはよくわからないんですよね……」と話をしていたのを覚えています。確かに彼の住んでいた県では、桜の満開は4月の終わりで、ゴールデンウィークに「桜祭り」が実施されているところでした。


俳句には季語があります。季語があるからこそ、俳句という文学の評価はより高いのだという文章を読んだことがあります。この季語からもわかるように、日本人の中には「四季」が大きな存在となっているのはご存知の通りです。季語だけではなく、手紙の「時候の挨拶」などにも季節を表す言葉が使われますし、毎日の挨拶でも気温や天候に関する言葉を交わすのが、日本では一般的です。「今日も暑いですね」「涼しくなりましたね」「雪が降りそうですね」などといった日常生活の中での挨拶は、四季がある日本だからこそだという話も読んだことがあります。確かに東南アジアなどの国では、一年を通して暑い国がありますが、そういった国では「毎日暑いですね」という挨拶は交わされないでしょう。


日本人の季節感には、単に「春夏秋冬」という四季だけではなく、「早春」「初夏」「晩秋」といったような四季をさらに細かく分けるような表現もあります。そしてその言葉にもそれぞれのイメージが含まれています。たとえば「晩夏」という言葉からは、夏の終わりの何となくの寂しさが含まれているように。


「夏の夕方にザっと降る雨のことをなんというでしょう?」この質問に対して、普通であれば「夕立」という答えになるはずです。しかし、いまの小学生の何割かは「ゲリラ豪雨」と答えてしまうのではないでしょうか。「夕立が降ったあとは地熱が冷まされて涼しくなる」というのも一昔前の話になってしまったようで、「ゲリラ豪雨の後は蒸し暑さが増す」ということもあるようです。夏の風物詩の一つである「浴衣」も、夏の盛りの「盆踊り」や「花火大会」の時期に着るのは暑すぎるので、8月の終わりから9月にかけて「秋祭り」などで着られることが多くなった、という話を聞いたりもしました。


「桜の開花時期」も「夕立」も「浴衣」も昔のイメージと変わってしまったのは、地球温暖化の影響が大きいのでしょうか。「夏が長くなった」と感じている日本人が多いという統計を見たことがあります。その反動で「春」「秋」が短くなってしまったという印象もあるようです。「春」も「秋」も日本人の季節感の中ではとても大切な季節なのですが、それが短くなってしまっているということに関しては、若干の寂しさを感じます。
アメリカにも四季はあるのですが、アメリカ人はどちらかというと「季節感」ではなく、行事やイベントで一年間のイメージをつくるのだと聞いたことがあります。有名なところでは、3月(年によっては4月)の「イースター(復活祭)」、7月の「独立記念日」、10月の「ハロウィン」、11月の「サンクスギビングディ(感謝祭)」、そして12月の「クリスマス」などなど……。やはりキリスト教圏の行事が多いようです。クリスマスに代表されるように、日本にもそんなアメリカ(欧米)の行事がいくつか伝わってきていますし、日本人の季節感の中に取り込まれているイベントもあるようです。それを否定するつもりもないのですが、昔ながらの日本の季節感、それにともなう文化が薄れてしまうのであれば、やはり寂しく感じてしまいます。


「卒業式」と「入学式」も季節を感じさせるイベントですが、日本と欧米では実施時期が異なっています。アメリカでは5月~6月が卒業シーズン。多くの学校で卒業イベントが盛大に行われるそうです。映画などでそのシーンをご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。そして夏休みをはさんで9月からが新年度ですが、アメリカでは「入学式」というセレモニーは行われないのが一般的なのだそうです。


今年の「卒業式」「入学式」も、晴れて、暖かな春の陽射しのもとで行えればと、思っています。

同じテーマの最新記事

2023.03.17 『開花宣言』
2023.03.15 『中学受験学習は、精神的成長と同時進行』
2023.03.08 『春』
2023.03.03 『春一番』
2023.03.01 『3月1日 ~新年度スタートへ向けて~』
資料請求はこちら
早稲田アカデミー