四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『心の扉を開く①』

2023.05.10

大型連休が終了しました。皆様はいかがお過ごしでしたでしょうか。首都圏はこの時期としては暑く感じる日が多くありましたし、後半は雨の日もありました。しかし、やはり「過ごしやすい気候」で行楽日和でした。新型コロナウイルス感染症の行動制限がなくなった大型連休、テレビでも行楽地の様子や各地のイベントのニュースをやっていました。


校舎の生徒たちにも聞いてみたのですが、「浜松に旅行に行った」「近場だけれどホテルに宿泊して美味しいものを食べた」「たくさんの友達と映画に行った」というような答えが返ってきました。武蔵小杉校から歩いていける「等々力緑地」では「肉祭」というイベントが行われていたようです。最近流行のグルメフェスです。私も行ってみようかと思ったのですが、生徒に会ってしまいそうなのでやめてしまいました(会っても問題はないのですが……)。聞いてみたところ、やはり多くの生徒が楽しんできたようです。「バインミー食べた!」「ハラミステーキがすごかった!」といった感想でした。


ゴールデンウィークや夏休み・お正月休みの次の授業では、お休みの期間にどう過ごしていたかを聞くことが多くあります。単に聞くだけではなく、ちょっとした会話をするようにもしています。「マリオの映画って、ルイージがクッパにつかまるんだよね」、なんて聞くと「そう!それでね……」と興奮気味にストーリーを話してくれる生徒もいます。「バスケットを見に行った」と教えてくれた生徒には、「ブレイブサンダース(川崎市をホームにしているプロチームです)、試合勝った?」というように聞いてみたりしています。


一言でいうと、生徒が興味を持っていることに対して、私も少し興味を持つようにしているというイメージです。これは「生徒を指導するための一つのコツ」だと思っています。どんなによい授業をしても、生徒が聞いてくれなければ、効果はありません。指導内容が浸透しませんし、当然学力も伸びてはきません。授業の効果を高めるためには、生徒が聞いてくれる心的状態をつくる必要があるわけです。生徒の心が閉ざされた状態では、いくら言葉を投げかけても届きません。固く閉ざされた扉に向かって、言葉を投げ続けてもはね返されるだけ、そんなイメージです。まずは、生徒に心を開いてもらうことが必要になります。


「ラポールを形成する」という言葉をご存じでしょうか。もともとはフランス語で「架け橋」という意味だそうですが、心理学用語として「開かれたコミュニケーション」「信頼関係の構築」という意味合いで使われている言葉です。そこからさらに、ビジネスや教育においても使われるようになっています。生徒に心を開いてもらう」というのは、この「ラポール」を形成することだと思っているのです。


小学校低学年の間は、比較的簡単に「信頼関係」はつくれます。その時期の子どもにとっては、「親」「先生」などの大人はそもそも信頼すべき存在であり、助けてくれる存在なわけですから、こちらが意図して働きかけなくても「信頼関係の構築(=ラポール形成)」は容易です。


しかし、9歳から10歳の「壁」を越えて、さまざまな意識が芽生えはじめ、自我が生まれてくると、大人に対して「距離」を持ち始めるようになってくるケースがあります。「第二反抗期」が始まる時期でもありますので、ご家庭でもお子様との間に「心的距離」を感じることがあるかもしれません。特に我々の場合は、初めて担当する中学生クラスに入っていったときなどに、この「距離」を強く感じます。中学生の生徒にとっては初めて見る先生ですから、彼らも不安と緊張で先生を迎えます。そこから授業を始めるのですが、やはり1回目の授業ではなかなかうまく「心の扉」を開くまでにはいきません。そういったときには、授業の前後に軽く会話を交わすようにしていきます。「クラブは何をやっているの」「陸上部です」「短距離?中距離?」「いや、走り幅跳びです」「そっか、がんばってね。次の大会はいつ?」というような会話から入るわけです。そこで、生徒は「この先生は自分に対して興味を抱いてくれている」というような気持ちが生まれます。「ラポール形成」の一つのファクターである「共有意識」が少し生まれる、そんな瞬間になるのです。


話が少し横道にそれてしまいましたが、イメージはおわかりいただけましたでしょうか。連休にお子様を映画にお連れになった際に、「お父さん(お母さん)は待っているから、子どもたちだけで見てきなさい」というのは、「共有意識」という点で考えると、もったいないことなのです。映画を見てお子様といろいろ会話をすることが、「共有体験」につながるわけですから。


この「ラポール」についての考え方は、ご家庭における親子関係の構築にも役立つと思いますので、次回以降の記事にもう少し続けさせていただきます。

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