四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『電車の中では何をしている?』

2023.10.11

秋は「学校選びの季節」と言われることがあります。体育祭や文化祭(学園祭)などが受験生に開放されている学校も多くありますので、保護者の皆様もお子様と一緒に学校に足を運ぶことが多くあるのではないでしょうか。また、翌年の「入試要項」が固まり、学校説明会や見学会、オープンキャンパスなどが、受験生(小学6年生だけではなく、次年度以降の生徒も対象として)へ向けて、各学校で実施されます。


「学校選びはいつから始めた方がよいですか」というご質問をいただくことがあります。私の答えは決まっていて、「なるべく早い時期からいろいろな学校を見てください」とお話ししています。成績や入試の出題傾向なども加味して、最終的に「受験校(受験パターン)」を確定していくのは、小6になってからということになりますが、「目標として目指す学校」はなるべく早い時期にイメージしておいた方がよいと考えています。


学校選びの基準としてはいくつかの要素があります。「校風・教育理念」といった学校の本質につながる部分から、「大学進学実績」「男女校・共学校」「興味のあるクラブ活動の有無」「制服」などなど、ご家庭やお子様によって何をポイントにするかは異なるでしょう。「費用」や「防災対策・安全対策」といった視点も必要になってもくるはずです。その中で、どのご家庭にとっても外せない要素に「通学時間」があります。


どんなに気に入った学校であったとしても、ご自宅からの距離が離れすぎていて、通学に時間がかかり過ぎる場合には、現実的に通学は難しくなってしまいます。中学入試では、女子校を中心に出願資格に制限が設けられているところがあります。その場合は、自宅から学校までで「90分」という基準が一般的です。この時間をこえている場合の対応は学校によってさまざまなようですが……。


「通学時間・通学距離」という話題では、今年の7月に大きなニュースが飛び込んできました。筑波大学附属駒場中学校が来年の入試から「通学区域」を拡大することになったのです。


もともと、東京都内は全域が通学区域となっていたのですが、千葉・神奈川・埼玉の各県では通学区域がしぼられていました。しかし、今回の「通学区域拡大」にともなって、受験できるエリアが増えたのです。今回新たに「通学区域」となったエリアを、県ごとに記載いたします(全通学区域に関しては、学校のホームページでご確認ください)。


〇埼玉県
上尾市、さいたま市(浦和区、大宮区、北区、桜区、中央区、西区、南区)、志木市、草加市、所沢市、富士見市、ふじみ野市、三郷市、八潮市
〇千葉県
習志野市、船橋市、松戸市
〇神奈川県
厚木市、海老名市、座間市、横浜市(泉区、港南区、戸塚区、南区)


ご覧いただいてお分かりのように、これまでの「通学区域」はかなりしぼられていました。埼玉県の大宮や浦和、千葉県の船橋や松戸に住んでいる生徒にとって、筑駒は「受けられない学校」だったのですが、それが受けられることになったわけですから、とても大きなニュースでした。これらの区域にある早稲田アカデミー校舎では、やはり「筑駒を目指したい」という生徒が出てきているという話を聞いています。


開成学園のホームページには、在校生の「通学区域」「通学時間」が掲載されています。拝見したところ、中学生では約63%の生徒が、60分以内となっていました。ただ、約5%は90分以上という結果にもなっています。やはり開成ですから、遠くても通学している生徒がいるようです。


まれに「転居」も視野に入れて学校選びをなさるご家庭もあります。また、通い始めた結果、想像以上に負担が大きくて「転居」を決断したというお話もうかがったことがあります。単に「通学時間の長さ」だけではなく、毎日の荷物の量(重さ)も大変だった、始業時間ではなく部活動の朝練に間に合うためにはさらに早く起きなければならなかった、お弁当を朝早くに作ることになるお母様も大変だった、というさまざまな点から、お父様を説得なさったというお話でした。


中学校へ進学してから校舎に遊びに来てくれる生徒たちがいます。「部活動は何をはじめた?」「科目で大変なのは何?」「定期テストの結果はどうだった?」など、時間があればいろいろな話をするのですが、その中で「通学時間に何をしている?」ということもよく尋ねるようにしています。


担当していたクラスの生徒が連れ立って遊びにきてくれたときに、お互いに時間があったので「通学時間に何をしているの」という質問をしてみました。
 
①「だいたい寝ている、寝てないときは音楽を聴いている」→女子
②「テスト前は勉強している、本を読んでいることも多い」→男子
③「週に2回~3回は友達と待ち合わせて、おしゃべりしながら」→女子
④「(学校とは別の)英語の勉強をしている」→男子
⑤「ボーっとしながら、考え事をしている(文芸部で書いている小説のことを)」→女子
⑥「自転車をこいでいる」→男子


こんな回答が返ってきました。少し前の話なのですが、生徒の顔を思い出すと(通っている学校も知っているので)「こんなことを言っていたなぁ」という記憶が戻ってきました。「スマホを見ている」という答えも予測していたのですが、「電車の中でスマホを使うのは禁止」という校則の学校もあり、また親との約束もある生徒もいて、スマホという答えは返ってきませんでした。


片道40分としても、往復で1時間20分、その時間を6年間費やすわけですから、それなりに有意義な時間にすることが必要だと考えています。「学校選び」の段階でお考えいただくことも必要ですが、実際に通学を始めたときには、電車の中でどんな風に過ごすかといった点などもお話しいただくとよいと思います。

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