四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『日記と雑談のススメ』

2024.02.28

塾では新学年がスタートしました。小学校でも4月から新学年に切り替わります。新学年からの一つの習慣として、「日記」と「親子の会話」を取り入れてみてはいかがでしょうか。


「日記」を書く(書かせる)のは子どもの成長のためにはよいことだと昔から言われていました。最近では、小学生の毎日が忙しくなったこともあり、「日記を書きなさい」という指導は、学校でもあまり行われていないようです。文房具屋さんでも「日記帳」というノートを見かけることは少なくなりましたが、保護者の皆様の中には、小学生のころにご自身で日記を書いていた(書かされていた)記憶のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。最近の傾向からはズレてしまうのを承知の上で、あえて今回は「日記のススメ」を書かせていただきます。


日記を書くことはお子様にとってどんなプラスの効果があるのでしょうか。余談になりますが、子どもにとって「良いと言われていること」でも、それが全てのお子様にあてはまるわけではありません。「良いと言われている」ことを単純にそのまま与えたりやらせたりするのではなく、その効果なども考えた上で、お子様の性格やタイプ、成長段階などに合わせて取捨選択をすることがとても大切です。さらに、その効果をきちんと理解しておけば、お子様に合わせて応用も効くようになるはずです。


まず、一つ目に「日記を書くこと」は、「書く力(記述力)」の向上につながります。毎日ある程度の文章を書くことによって、書くことそのものに対する耐性はついてくるはずですので、そういった点で直接的な効果が期待できます。ただ、単に毎日書くだけで本質的な記述力・表現力がぐんぐん伸びるわけではありません。日記は書いているうちに、ある程度書き方のパターンが決まってきてしまうものです。そうなるとそれ以上の記述力向上は見込めないでしょう。


二つ目の効果として、「一日をしっかりと振り返る」ということが挙げられます。何かを振り返って反芻するということは、ある程度精神的に成長してこなければできないことです。たとえば、「授業を復習する」という行為は小学生にとって、決して楽なことではありません。先生が話したことを瞬間的・断片的には覚えていても、その流れ全体をしっかりと反芻するのは難しいでしょう。日記を書くことによって、そういった「振り返る」という行為のトレーニングにもなるわけです。そこから精神的な成長にもつながってまいります。


そして最後にもう一つの効用があります。「日記に書くことを普段から考えるようになる」という点です。実は、小学生に日記を書かせるのならば、この点が一番大切なことになるのではないかと私は考えております。日記を書くことが習慣になっていれば、「今日はどんなことを書こう」と常日頃から考えるようになるはずです。毎日毎日同じようなことばかりを書いているのでは、お子様も飽きがきてしまうでしょう。昨日とはちょっと違うことを書こうと考えれば、いつもとは違った目線でいろいろなものを見るようにもなるはずです。


最近の中学入試では、机上の学習における知識を問う問題だけではなく、お子様の生活に比較的近い位置にある「身近なもの」についての問題が出されることがあります。身近なものに対して興味を持ち観察したり、「なぜ」と考えたりという習慣は問題発見能力へとつながります。与えられた問題を解決する力よりも、どこに問題があるかということを見つけられる力は、これからの将来においてとても必要な力となってくるはずです。身近なものに関心を持つようにするためには、常日頃からいろいろと考えて生活することが大切です。日記に書くことを考えるのはそこにつながるはずです。


ただ、日記を書くことだけがその方法ではありません。実は親子の会話もその大きな一助となります。たとえば毎日の夕食時に今日あったことに関して、親子で会話をする習慣のあるご家庭があったとします。きっとお子様は何を話そうかと、学校や塾で考えながらお過ごしになるのではないでしょうか。もしくは何かに気がついたときに、これをお母さんに話そうと思っていろいろと考えるのではないでしょうか。そういった毎日が「身近なことに興味を持つ」「考える力を鍛える」ことにつながると思います。


「親子の会話」というと、「うちは会話の時間はかなりとっているんだけど……」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、その会話の内容はいかがでしょうか。お子様が自発的にお話しになるような状態になっていますでしょうか。親が一方的に話をしていることはないでしょうが、むりやり聞き出すような形になってはいませんでしょうか。「今日は学校で何かあった?」「いや別にないよ」「じゃあ、塾では?」「特に……」という会話ではいままで書かせていただいたような効果は見込めません。お子様が自発的にお話しされるような雰囲気をおつくりいただくことが大切です。そのためには、少し忙しくてもお子様が話を始めたときには、ぜひ耳を傾けてあげてください。自分が興味を持ったことに対して、お父様やお母様も関心を示して聞いてくれるということがわかれば、お子様はきっと、もっといろいろと話したいと考えるようになるはずです。


テーマを決めた会話よりも、雑談をしているときの方が頭脳は働いていると聞いたことがあります。いろいろな話題に関して、相手の立場も考慮しながら話すことで、頭は回転するわけです。そういった意味では、さまざまな人との会話も有効なはずです。お父様やお母様だけではなく、おじい様やおばあ様との会話などもいろいろな点において効果的だと思います。授業の前後に私に「雑談」をしてくる生徒もいます。時間がある限り耳を傾けてあげるのですが、けっこう面白いことを話してくれる生徒がいるものです。ご家庭でもお子様との「雑談」をぜひ楽しんでみてください。

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