四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『「わかる」を「できる」にする家庭学習』

2022.06.24

塾の授業が終わった帰り道、「今日の授業はどうだった?」とお聞きになる保護者の方は多いのではないでしょうか。「算数は立方体の展開図をやったよ」「どうだったの?わかった?」「うん!わかった!」と、そんな会話をされることもあるのではないでしょうか。お子様が「わかった」と答えてくれたので安心していると、次のテストで思わぬ結果が返ってきて青くなる……そんな経験をお持ちの保護者の皆様は多いことと思います。


よく言われることですが、「わかる」と「できる」は違います。ある程度成長してくると「わかった」ことがすぐに「できる」ようになりますが、小学生の間は学んで理解したことを「できる」ようにするトレーニングがとても大切です。そういう意味では、中学生や高校生の学習方法・学習スタイルと小学生の中学受験に向けた学習は大きく異なるのです。


授業で理解したことを「できる」ようにするのが家庭学習です。塾で出される宿題はそのための教材が多いのです。一方で、中学受験へ向けた学習内容は小学校でのものとは違い、その学齢の生徒にとって難しいものも含まれています。そういった一部の宿題は、自分で「できる」ところまでいかなくてもかまいません。しっかりと考えることによって、次回の授業や将来の理解につながるものもあるとお考えください。


では、その「家庭学習」をどのようにすすめれば効果があがるのでしょうか。
「なかなか集中して机に向かえなくて……」「座ってから勉強を始めるまでに時間がかかるんです」というご相談をよくいただきます。お子様の好きなこと(趣味やゲーム)であれば「やりたくて仕方がない」という気持ちになっているので、すぐに集中することができるでしょう。しかし、家庭学習や宿題は「とてもやりたい」というものではありませんので、やり始めてすぐに集中して、一気に進めていくのはなかなか難しいものです。子どもだけではなく、大人でも「やりたくないもの」を行うときには「腰が重く」なってしまうことはよくあるのではないでしょうか。ただ、実際に何かを始めてみると、心理学的に言われる「作業興奮」というような状態に入り、だんだんと集中していくことができるようになってくるのは、大人も子どもも変わらないようです。


大人になると(やる気がおきなくても)「とりあえず始める」ということができるようになりますが、子どもの場合にはなかなかそうはいかないでしょう。「何度もお母様が言ってやっと始める」「ときにはそれでケンカになる」というようなお話もよくうかがいます。そういうときには「勉強を始める前に習慣的に行うことを決めておくのもひとつの方法です」とお答えすることがあります。その方法について、具体的にいくつかアドバイスをさせていただきます。


①軽く体を動かす
これは保護者の皆様も経験があるのではないでしょうか。私も集中して原稿などを書く前には、体を動かすことがあります。私の場合は、背筋を伸ばしたり、肩や首を回してみたり、といったレベルですが、小学生の場合は「運動」というレベルでもよいと思います。「勉強前には玄関の前で縄跳びをする」という話を生徒から聞いたことがあります。その生徒のお母様からは、雨が降っていて外で縄跳びができないときは、何となく集中できていない様子だとお伺いしました。体を動かすことで、血行が良くなり、頭の働きもよくなるという生理学的な裏付けもあるようです。


②お手伝いを15分間する
「この子、大根おろしが得意なんですよ」というお話をあるお母様から伺ったことがあります。家庭学習を始める前の習慣として、「お手伝いをする」というお子様もいらっしゃるようです。キッチンでお母様とちょっとした会話をしながらお手伝いをすることで、気持ちが切り替わるのだと思います。先にご紹介した「体を動かす」ことも考えると、「お風呂掃除」などもよいかもしれません。


③学習環境を整える
これも私の話ですが、集中して作業をしようというときには「机の上を片づける」ことから始めます。きれいに片づけたところで、「よしがんばるぞ」と背筋を伸ばしてとりかかるわけです。目の前の机に、今日の勉強に必要ないものが置かれていれば、当然集中できないでしょう。きれいに片づけた机に、今日勉強する教材と筆記用具を並べる、それも集中するための一つの方法だと思います。


机の前に座って学習にとりかかったとしても、すぐにエンジン全開となるわけではありません。いきなり難しい問題に取り組んだとしても、頭が回転していなければ「できる」わけはないでしょう。「作業興奮」という状態に入ることを意識して、ウォームアップ的な学習を取り入れることも効果的だと思います。算数の難しい問題に取り組む前に、計算問題をまずやってみるというようなイメージです。お子様の性格やタイプに合わせて、集中して家庭学習に取り組めるような習慣を早めにつくりあげていただければと考えます。

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