四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『才能は伸ばすものではなく、可能性は広げるのではなく……』

2022.11.02

「子どもの才能を伸ばす」「子どもの持っている可能性を広げる」という言葉が使われることが多くあります。ただ、私は保護者会などで、お子様の将来の可能性について『大切なのは、子どもの可能性を奪わないこと』という言葉を使わせていただいています。また、生徒に対しても「君たちがいま勉強しているのは、いま持っている可能性をなくさないようにするためなんだよ」と話すこともあります。


私は常に、「子どもの可能性」は無限に広がっているものだと考えています。生まれたばかりの子どもは、将来、医師や弁護士や宇宙飛行士、そして、スポーツ選手や芸術家にも、何にだってなれる可能性があるわけです。しかし、成長していくうちに、いくつかの可能性が消えていくか、薄くなってしまうことがあります。親が子どもに与える環境の中で、知らず知らずのうちに、その芽を摘んでしまうようなことがあるのかもしれません。


お子様の適性を見極め、その長所を伸ばし、進むべき道をある程度定めて導いてあげることも、親や周囲の大人の役割として挙げられるでしょう。しかし、まずはすべての可能性を考えて、なるべくその可能性の幅が狭まらないように成長を後押ししてあげることが大切だと、私は考えています。適性だけではなく、お子様自身がやりたいことが見つかったときに、それを目指すことができるようにと考えることが必要だと思っています。さらに将来の日本や世界の中で求められる役割は、ここからの10年20年で大きく変わっていくと考えています。


小4から小6まで担当していた女の子の話です。国語がとても得意だったのですが、お母様はよく「両親とも理系なのに、算数が苦手だなんて……」とおっしゃっていました。結局、入試まで国語は得意、算数は苦手という図式は変わらなかったのですが、努力の結果、第一志望校に合格しました。それからの中高6年間、彼女がどのような生活をし、どのように学んでいったのか、詳しいことはわかりません。ただ、結果として大学は医学部を選び、見事現役で合格。わざわざ私の校舎までそのことを報告しに来てくれました(小学生で担当していた校舎から異動し、かなり遠方の校舎になっていたのですが……)、高校に入ると数学・理科の成績が伸び、また、国語(現代文)も変わることなく好きで、受験勉強の気晴らしは読書だったそうです。


その生徒と話をしていて感じたのは、中学受験のときに苦手な算数を「嫌い」にならなくて良かったということでした。もし、「算数は苦手だから嫌い」と思い込んでしまっていれば、きっと大学で理系の道には進んでいなかったでしょう。


私が小学校の低学年(小1・小2)から中学年(小3・小4)の授業や指導で一番心がけているのは、単に知識や解き方を覚えこませるのではなく、しっかりと理解させ、さらにそこから「考えさせる」ということです。頭の使い方や考え方の土台が出来上がる小学校中学年までにしっかりとしたトレーニングを行うことが、お子様が将来どんな道に進むにしても、必ず役に立つことであり、それが将来の可能性を狭めないために必要だと考えているからです。


さらに、精神的にも肉体的にも一番成長するのが中学・高校時代です。6年間過ごす環境をしっかりと選び、与えること、が『子どもの可能性を奪わないこと』につながります。それが中学受験を選択する大きな目的のひとつだと私は考えています。

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