四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『賢者の贈り物』

2023.12.13

火曜日(12月12日・漢字の日)に「今年の漢字」が発表になりました。巷の予想通り、「税」に決まったそうです。得票順にご紹介すると「税」「暑」「戦」「虎」「勝」……という順番だったようです。私が予想していた「高」は残念ながら「第7位」ということになりました。


さて、もう一つ直近の話題を。12月10日は何の日かご存じでしょうか。この日はアルフレッド・ノーベルの命日で、ノーベル賞の授賞式が行われます。日本では、ノーベル賞が発表される10月初旬を「ノーベルウィーク」と呼ぶこともありますが、スウェーデンでは授賞式が行われる前後の一週間が「ノーベルウィーク」と呼ばれ、ストックホルムの街が華やかに彩られます。実は授賞式・晩餐会が行われるストックホルム市庁舎のそばに、短期間だけ滞在していたことがあります(以前にも書かせていただいたのですが……)。もうかなり昔のことになるのですが、両親が仕事の関係でストックホルムに住んでおり、借りていたアパートメントが、ちょうどその市庁舎の真裏でした。当時大学生だった私は、住んでいたわけではないのですが、夏休みや冬休みになると両親を訪ねてストックホルムに行っていました。市庁舎の地下にあるレストランでは、予約をすると実際にノーベル賞の晩餐会で出された料理を食べることができます。私は川端康成がノーベル文学賞を受賞した年の料理が食べたいと思ったのですが、材料調達などの関係で違う年の料理になったのを懐かしく思い出しました。


ストックホルムでは、ノーベル賞が終わると(というよりも終わる前からなのですが)、クリスマスホリデーのシーズンになります。むこうのクリスマスは、日本と比べると静かな印象です。イブには教会のミサに参加される方が多いのですが、お店などはほとんどが閉まっています。ヨーロッパでのクリスマスは、家族でいつもよりも少し豪華なディナーを楽しみ、プレゼントの交換をするそうです。私も現地の友人のホームパーティーに招かれて、雰囲気を味わわせてもらいました。


クリスマスプレゼントとして絵本をもらったときの思い出話を。
その絵本は、ご存じの方も多いと思いますが、「賢者の贈り物」というオー・ヘンリーのお話でした。子どもだった私(たぶん幼稚園のころだと思います)は、そのお話を読んでとても悲しい気持ちになった記憶があります。悲しいというよりも、なんとも言い表しようのない感情で涙が出てきました。たぶん、お互いの行為(プレゼント)が報われなかったという点だけが印象に残ったのだと思います。ところが、たしか小学校高学年になってから読み直したときに、「感動」を覚えたのも記憶にあります。物語の最後にある「この二人が本当の賢者である」という表現がすっと入ってきたような気がしました。いまの小学3・4年生の生徒がこのお話を読んでどのように感じるのか、ちょっと試してみたいように思います。


もう一つクリスマスプレゼントについて。数年前のクリスマスの時期、確か土曜日のテストのときだったと思いますが、帰り際にある生徒が話をしてくれました。「今日はこれからおじいちゃんとおばあちゃんにあげるクリスマスプレゼントを買いに行くんだ。今年は私が選ぶの」とうれしそうに。「何にするの?」と聞いたのですが、「うーん……わかんない。見てから考える」と校舎の外でお待ちのお母様のところへ走っていきました。


誰かのためにプレゼントを選ぶというのはとても楽しいことだと思います。自分がもらうよりも、誰かのために選んでいる時間の方が本当は楽しいのではないでしょうか。そして、そのときの気持ちや思いは、お子様の心を豊かにし、精神的な成長を促すはずです。低中学年のお子様の場合、「自分はこれが欲しい」というところから考え始めるかもしれませんが、いろいろと見ていくうちにそれをもらった人のことを考えるようになっていきます。自分とは年齢や生活している環境が異なる人に喜んでもらうために、その人に思いをはせながら、さまざま考える……そのような経験をすることは、将来のために非常に大切だと思います。そう考えると、たとえば一緒に住んでいないお祖父様やお祖母様へのプレゼントを考えさせるということは、とても素晴らしいお子様への接し方だと感じました。そして、自分が選んだプレゼントを喜んでくれた人との絆はより強くなることでしょう。


残念ながら、今年のノーベル賞は日本人や日本に関係のある方は授賞していませんので、授賞式の様子なども大きくは報道されませんでした。ただ、毎年ノーベル賞の授賞式のニュースを見るたびに感じること、それは近い将来、早稲田アカデミーの卒業生が受賞する日が来るだろうな……ということです。すでに早稲アカ卒業生はさまざまな分野で活躍されている方がいらっしゃいます。10年後、20年後、30年後……、いつになるかはわかりませんが、きっとその日は来ると信じています。そのときの授賞式のニュースは、きっと私にとっては人生最高のクリスマスプレゼントになるはずです。今からその日を楽しみにしています。

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