
『スタートラインは子ども』
2025.11.28
先日実施させていただいたクローバーセミナーでもお話ししたのですが、私がセミナーやブログで紹介させていただいている「子どもへの接し方」などは、絶対的な「正解」ではありません。お子様は、一人ひとりが別の個性を持っていますので、「絶対に」うまくいく方法などは存在しないというのが、私の基本的な考え方です。私なりに児童心理学や教育心理学などを勉強してはいるのですが、それらの受け売りをするのではなく、実際の進学塾の現場での体験で考えたことや、生徒たちに教えてもらったことから、保護者の皆様にアドバイスやヒントをお伝えしている、そんなイメージです。
セミナーでもお話ししたのですが、「中学受験へ向けて学習している子どもたち」はある意味「特殊」な存在だと思います。現在の小学生の児童数は学年によっても若干異なりますが、一学年の児童数は全国で85万人から100万人弱程度です。そのうち中学受験のための学習を進めている児童数は、全国規模で考えると、8万人から9万人程度という推計値が出ています。つまり中学受験へ向けた学習に取り組んでいる生徒は、全国では10%弱ということになります。
一方で、中学受験へ向けたカリキュラムの中で学ぶのは、その学齢の児童には高いハードルの学習であり、それを継続していくことで、精神的な発達・成長を促す効果もあると私は思っています。また、科目学習だけではなく、テストに向けて計画的に学習していくことや、自分の弱点を把握し克服するために努力をすることなども、同じように成長を促す効果があると考えています。そういった意味において、中学受験を目指す生徒への接し方は、一般的な「子育て論」「教育論」とは、少し違う部分もあると思っているのです。
書店に行くと、たくさんの「子育てのための本」や「受験で成功するための本」が並んでいます。一般的なことが書かれているものもありますし、「特殊・特別な方法」が書かれているものもあります。時として話題になるのは、少し「突飛」なものだったりすることもあるようです。そういったものの方が話題にはなりやすいのでしょう。ただ、それらに書かれていること(一般的なことも特殊な方法も)はすべてのお子様に当てはまるものではないはずです。私がブログに書かせていただいていることも、セミナーでお話しさせていただいていることも、中学受験を目指す進学塾の生徒たちに目線を合わせた「一般的」な内容です。そしてそれらの中から、自分の子どもに合った考え方や方法を選ぶのは、保護者の皆様の大きな役割だと思うのです。ひとつわかりやすい事例を出してみます。
お友達が朝の5時から毎日勉強をしていて成績が上がったという話を聞いて、朝が弱いお子様を無理やり5時に起こして勉強させるのは意味がないと思います。試してみるのはよいかもしれませんが、お子様の生活リズムを崩したり、性格に合わなかったりした際は、見直すことが必要です。「〇〇君はそれで成績が上がっているのに、あなたはダメなのね」と決めつけてしまうと、大切な「自己肯定感」を低下させてしまうことになってしまいます。ここで大切なのは、「子どもが朝学習には向かないタイプである」という保護者の皆様の(子どもに対する)理解だと思うのです。しかし、さらに踏み込んで考えていただくことも必要だと思います。言い換えれば、その「理解」が正しいかどうかの検証も必要なはずです。本来は「朝が弱いタイプ」ではないのに、夜眠るのが遅くなっているという生活習慣のために、朝気持ちよく目覚められなくなっているという可能性もあるわけです。さらに親から「朝は弱いタイプ」と言われている子どもは、自分でもそう思い込んでしまうことが多くあるのです。そして、毎朝なかなか「ベッド」から出てこない、起きてすぐに机の前に座ってもボーっとしたまま……そんなことになってしまう場合もあります。
さて、上記の話の中に出てきた「朝が弱い」を「算数が(国語が・暗記が)苦手」に置き換えてみるといかがでしょうか。「漢字の暗記」が苦手だから、「国語は苦手」と思い込んでしまっている。「計算問題でのケアレスミス」が多いから、「算数は不得意」と思い込んでしまっている。そんなお子様はいらっしゃらないでしょうか。お子様にとって最適な方法を考えるためには、スタートラインとしてお子様を客観的にみていただくことが必要だと、私はよくお話ししています。
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