四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『歯磨き粉の選び方』

2022.02.16

先日、ドラッグストアで歯磨き粉を選んでいました。いままで使っていたものから、ちょっと変えてみようかと考えていろいろ見ていたのですが、あまりにも多くの種類があって迷ってしまいました。それぞれのパッケージには、「歯垢除去」「歯周病予防」「むし歯予防」「美白効果」「口臭除去」などのさまざまな効能が書かれています。成分的にも「フッ素配合」「殺菌成分」などの記載があり……。かなりの時間、考え込んでしまいました。


せっかくなので歯ブラシも新しくしようと思って、そちらの棚に目を移したのですが、そこにもさらに多くの種類が。「固さ」も「毛先の形」も「ヘッド部分の薄さ」も「材質」も、いくつものパターンがあり、もうどれがよいのかわからなくなってしまいました。


必要な効能をすべて網羅するためには、少なくとも3種類の歯磨き粉が必要に思われて、さらに3種類の歯ブラシも使った方がよいように感じました。それぞれの歯磨き粉をそれぞれの歯ブラシにつけて使うとすると「3種類×3種類」となり、全部で9回も歯磨きをしなければならなくなってしまうわけです。1回の歯磨きに3分かけるとすると、約30分の歯磨きタイムを確保しなければならなくなり、朝晩2回で考えると、一日に1時間を歯磨きにかけることになってしまいます。時間の問題よりも、それだけ歯磨きをしていると口の中がヒリヒリしてくると思います。なんとか1種類ずつを手にしてレジに向かいました。決め手になったのは「歯科医推奨」の文字でした。


帰り道にふと「歯磨き粉の選び方」は、「小学生の学習における教材の考え方に似ている部分がある」と思いました。進学塾には多くのテキストや教材があります。その中には「基本事項の定着」や「反復トレーニング」を目的としているものもあれば、「発展的な思考方法の育成」を目的としているものもあります。「知識の確認」を目的とするテストもあれば、「ミスをなくすトレーニング」のためのものもあります。我々講師は、それぞれの「効能」を考えて学習指示を出すことがとても大切なわけです。そのためには、クラスや生徒の状況を把握していることが必要です。塾の講師のひとつの役割として「医者」があげられることがあります。生徒それぞれの状況を把握して、そこに必要な「処方箋」を用意して提示する、というイメージで私はとらえています。


保護者の皆様からいただく質問の中に、「宿題以外に何かやった方がよいものはありますか」というものがあります。私は「まずは、課されている宿題の精度を高めてください」とお答えしています。それぞれのクラス・生徒に合わせた家庭学習課題のはずですから、その「効能」を理解したうえで、しっかりと学習していただくことが成績向上につながるとお考えください。「せっかくの教材だから……」と、宿題以外の部分にまで手を出して、すべてをこなす必要はありません。それは「3種類の歯磨き粉を使って、3種類の歯ブラシで」と同じようなものになってしまう危険性もあるのです。


買ってきた歯磨き粉を使ってみたところ、「味」が私好みのものではありませんでした。「効能」だけに気をとられ、「味」までは気が回っていませんでした。学習に置き換えると「教材の効能」を引き出す「教え方」なのかもしれない、などと考えながら、もう一度ドラッグストアに足を運んでみたところ、気になり始めたのが「歯ブラシ」コーナーの隣にあった「マウスウオッシュ」コーナー……。その棚の前でも考え込んでしまいました。

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