『一生に一回の夏休み』
2025.07.23
いよいよ夏休みが始まりました。早稲田アカデミーでは、今週の月曜日(7/21)から夏期講習会が始まっています。私が担当している生徒たちも、朝から元気に授業に参加しています。
小学校4年生のクラスで、「一生に一回の夏休みが始まったね」という話をしてみました。生徒たちは、「えっ?」「夏休みは毎年あるよ」……そんな風に返してきました。「あっ、言い方がよくなかった。一生に一回の『小4の』夏休みだ」と言い直したら、生徒たちは少し不思議そうな顔をしながらも、うなずいていました。そこから、小6までの夏休みの過ごし方、それぞれの夏に何をするべきか、といった話に進めていきました。
「夏は子どもが成長する季節」といわれます。夏休みにいろいろな経験をする中で、精神的にも身体的にも成長するイメージがあります。もちろん学習面においても、夏期講習会が毎日行われますので、一年の中で一番集中して勉強に取り組める期間でもあります。そういった「夏」ですから、学年ごとにやるべきことも違います。
小6受験生は、当たり前ですが「徹底的に受験勉強に取り組む夏」になります。小5までは「夏休みの学習計画表」を作ることを、保護者会でもおすすめしているのですが、小6受験生の夏に「計画表」は必要ありません。ほとんど毎日「塾の授業」「塾の宿題」で埋まってしまいますので。逆に小6生には「一日の振り返り」をするように指示しています。早稲田アカデミーでは「夏の学習手帳」というものをお配りし、毎日どのような学習をしたのか、その日の反省なども含めて記録してもらうようにしています。毎日の学習時間も記録できるようになっており、夏休み中の累算で「400時間」を目標に受験学習に取り組んでもらうようになっています。この「夏の学習手帳」は受験生にとって、一生の「宝物」になると私は思っています。中学受験の学習は、その学習内容が「学校授業の延長線上にはない」ため、「質」だけではなく「量をこなすこと」も必要になってきます。ですから、中学受験の夏は「受験学習中心の夏」になります。高校受験や大学受験と比較しても、「夏の学習総量」は多くなるのではないかと思っています。将来、この「夏の学習手帳」を見ると「一生で一番勉強した夏」の充実感を思い出せるのではないかと思うのです。「あのときの一生懸命さが今の自分につながっているな」……そんな風に思い返してもらいたいと思っています。
先日、私が小学生時代に担当していた現中3生が校舎にきてくれました。「今年の夏は京都まで一人で、自転車で行ってきます」という話を聞きました。その毎日の過程をきちんと記録にまとめて、学校にも提出するのだそうです。正直、うらやましくなりました。「今年の夏はかなり暑くなるらしいから、ともかく身体に気を付けて、疲れたらではなく、疲れる前に計画的に休憩をとって……」などと、まるで孫を心配するように話をしてしまいました。今年は中学校3年生の受験生クラスも担当しています。早稲田アカデミーの中3生たちは、来年の高校受験のために、やはり「学習中心の夏」を過ごしていますが、私立中に進学した生徒はやはり違うのだなと思いました。いろいろな意味で大きく成長する14歳から16歳の夏に、自分のやりたいことを思いっきりやれるのも、中学受験で得られるもののひとつだと、あらためて感じさせてもらいました。
中学生時代からギターを趣味にしています。洋楽も邦楽も、聴いたり、自分で弾いたりするのが好きです。実は夏に行われる「音楽フェス」にも行くことがあります。数年前の夏に、友人に誘われて参加しようかと思ったのですが、「この歳で若い人たちに交じっても……」という返事をしました。そのときに友人が言った言葉が「刺さりました」。「人生の中で一番若いのは、今年の夏だよ」という言葉です。「そうだよなぁ……」としみじみと思ってしまいました。
私にとっても「一生に一回の2025年の夏」が始まりました。生徒たちと一緒に充実した夏になるように、身体には注意しながら、がんばってまいります!皆様もご自愛ください。
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