四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『中学入試に必要な「読解力」』

2022.06.29

「梅雨明け」のニュースが入ってきました。「観測史上最短」という言葉も使われていますが、関東地方で梅雨入りしたのが6月6日ですから、21日間という「短期間」で終わってしまったわけです。偏西風が本州付近で北側に蛇行した影響で、太平洋高気圧が張り出して、梅雨前線を北側に押し上げたというのが大きな要因のようです。この時期のニュースなので、来年の入試の時事問題として出題される可能性もありそうです。社会でも理科でも取り上げられそうなテーマですし、さらに「地球温暖化」なども絡めた問題が出題される可能性もあるのではないでしょうか。


さて、今回は「国語学習方法」のなかで、「読解基礎力の向上」をテーマとして家庭学習におけるヒントを紹介させていただきます。


本質的な「読解力」と、国語の問題で必要な「読解力」は少し違います。本当の意味での「読解力」は、ある程度長い文章(本)を読む力を指しますが、中学受験の国語で必要な「読解力」は、出題されている部分をしっかりと読みこなすことを意味します。もちろん、その根底にあるのは同じものですから、国語の学習を進めることで、本質的な「読解力」も向上していくはずです。


四谷大塚のテキスト「予習シリーズ」でも、それ以外の教材でも、中学受験のための国語教材に掲載されている文章は、その学年の精神的な成長段階と比較をするとレベルが高いものになります。たとえば、小学4年生のテキストでは、読者として「中学生レベル」を想定している文章から出題されていることもあります。普通の4年生であれば、普段は目にしないような文章を読むことになるわけです。経験を積んでいる生徒であるか、もしくは精神的な発達段階が普通よりも高い生徒であれば、ある程度のレベルまでを理解することができるのですが、そうでないと書かれている内容を理解することそのものが難しい場合があります。しかし、そこには設問がついていますので、文意をとらえられていなくても、解かなければなりません。その結果、「文章を読む(=文意を理解する)」ということよりも、「問題を解く」という作業に懸命に取り組むことになってしまう場合があります。文意がわからないままでも、何となく解ける問題(細部に関する問題、接続語とか指示語など)もあり、全体の文意把握はできていなくても、正解を出すこともできる場合があります。しかし、そういった解き方をしているだけでは、国語の得点は伸びませんし、得点にムラも出てしまいます。


今回の「読解力向上」のためのアドバイスは、まず「読む」ことができるようにするためのものです。もっとわかりやすく言えば、「読む」ということは「書かれている内容をしっかりと頭に入れる」ということを理解させるためのものになります。


前述したように、お子様が使用している教材は、現時点の成長段階の一段階上のものなっていますから、それを読ませてもきちんと理解するのは難しいはずです。「読ませるための教材」として用意するのは、半年から一年前のテキストがよいでしょう。普段使用している教材でもよいのですが、私はテスト問題をおすすめしています。というのも、テストの問題は一番真剣に「読んだ」はずの文章だからです。


すでに一回扱っている文章なのですが、あえてそれを「読ませる」ようにするわけです。一番のポイントは「読む」ということです。設問もついていますので、「せっかくだから問題も解かせてみようかしら……」と思われる保護者の皆様もいらっしゃるでしょうが、それはなるべくやらない方がよいでしょう。問題に手をつけさせてしまうと、また「解くために読む」というところにお子様の意識がいってしまいます。「読む」という作業に集中できるように、「しっかりと文章を理解する」というテーマにしぼって読ませてあげてください。3年生から4年生であれば、読み終わった後に、「どのようなことが書かれていたか」を聞いてあげるのも効果的です。「読む力」というのは、スポーツの基礎トレーニングと同じように反復訓練が必要なものですので、できれば毎日、もしくは隔日で実施されるとよいでしょう。寝る前にベッドに入ってからでもかまいません。「勉強」というよりも「読書」というような感覚で毎日の生活習慣に取り入れることをおすすめします。普段の生活のなかで時間をとるのが難しければ、夏休みの学習習慣の一つとして取り入れてしまうのもよいと思います。


やっていただければわかるのですが、半年(一年)前に苦労していた文章がすっと頭に入ってくるはずです。お子様にとっても「しっかり読めた」という感覚を得ることができますし、保護者の皆様にとっても、お子様の半年間での成長を感じることができるはずです。

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