四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『授業中の集中力』

2025.12.10

お子様が塾に向かう前に、「集中してちゃんと聞いてきなさい」「授業中にしっかりと覚えてきなさい」、そんな言葉を掛けることがあるのではないでしょうか。もちろん、そういった声掛けが効果を生むこともあるのですが、小学校低学年生の場合、それだけでは授業中の集中力が高まらない場合もあります。「わかっているよ」とは答えたものの、「集中して授業を聞く」ということ自体がよくわかっていないということもあるからです。


お子様の塾の授業に対する集中力を高める方法として、私は「親が教えてもらう」という方法をおすすめしています。塾の授業の後、保護者様がテキストを見て教えるのではなく、テキストを見ながら「この問題はどんな風に解けばいいの? 教えて」という声を掛けて、授業で教わってきたことを逆にお子様に「教えてもらう」のです。もちろんすぐに効果が出るわけではないですが、繰り返すことによって、「授業をしっかり聞いて、帰ってお母さんに(お父さんに)教えてあげなきゃ」という気持ちが生まれてくれば、そこから成長していくはずです。実は、この手法は、副次的なものとして、「親が子どもの理解度合い・定着度合いを確認できる」「説明することでよりしっかりと定着する」「子どもの表現力・説明能力が高まる」といった効果も期待できます。


小学3年生・4年生の年度初めの保護者会でよくお話しさせていただくのは、「まず授業の受け方を身につけてください」というポイントです。小学校とは違う「密度」「速さ」で行われる進学塾の授業に慣れるところからスタートし、慣れてきたら、授業の中で「定着」させることを強く意識して授業を受けることが大切です。


この点について、私はよく「教わる力」と表現させていただいています。同じ先生が同じテキストを使って授業をしていても、一つのクラスのなかで定着度合いに差が出てくることがあります。その差には、この「教わる力」の差が影響している場合も多くあります。前述した「授業中の集中力」も、「教わる力」の一つになるでしょう。「授業中にわからなくても、家でもう一度お父さんやお母さんに聞けばいいや」という意識を持っているお子様の場合、この「教わる力」が低くなってしまう傾向があります。


授業中の「集中力」については、授業を受けているときや、質問に答えているときのお子様の様子からも判断することができます。授業中に解説をしているとき、質問にきた生徒に教えているとき、その途中で「ん?」という顔をする生徒がいます。一方で「うん、うん」とうなずきながら聞いてくれている生徒もいます。お子様はどちらのタイプでしょうか。


もちろんそれだけで判断することはできないのですが、私の印象では「ん?」という顔をするお子様の方が、より深く考えながら聞いているというイメージを持っています。「ん?」も「うん、うん」もなくて、黙って下を向いていたり、鉛筆や消しゴムで手遊びをしていたりするのは、もちろんよくないのですが……。


解説や説明を聞いていて、「ん?」「あれ?」という顔をする生徒は、しっかりと頭を回転させながら聞いているのだと思います。そこまではわかっていたけれど、「あれ? 今のところはわからなかった」ということに自分で気が付いているわけです。一方で「うん、うん」というタイプは、なんとなく「わかったふり」をしているだけの場合があります。先生に対しては「聞いていますよ」というアピールをしているのですが、頭のなかでは思考が止まっていたり、まったく違うことを考えていたりする可能性もあるように感じています。


講師の立場からすると、授業をしているときに、「ん?」というタイプの生徒がいてくれるのは、実はとても助かるのです。時間が足りないときなどに、少し早口で解説をしていたりすることがあります。そんなときに、「ん?」っていう顔をしてくれる生徒がいると、「おっと、ちょっとゆっくりいくか」というように切り替えたりすることもあります。


「うん、うん」というタイプのお子様に説明するときには、理解しているかどうかの確認をするようにしています。「わかっている?」「わかった?」と聞いても、だいたいの場合は「はい」とか「うん」とかという答えが返ってきます。本人のなかでも「なんとなくわかった」と思っているので、ウソをついているわけではないのですが、説明した通りにやらせてみようと思ってもできないことが多いものです。個別に質問対応をしている場合などは、説明をしていた紙を手で隠して「先生が書いたのと同じ図を、もう一度問題を見ながら書いてごらん」というようなやり方をしてみたり、途中までヒントを与えて「あとは自分でやってきてごらん」とあえて突き放してみたり、というような手法をとったりもします。


ご家庭でお子様が質問をしてきたときなど、お子様の様子をご覧いただきながら、「本当に頭を回転させながら聞いているのか」という点にご注意いただくのがよいと思います。そのためにも、解説に書いてある内容をすべて説明するのではなく、ヒントを与えて考えさせてあげるのもよいかもしれません。

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