四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『大絶滅展―生命史のビッグファイブ』

2025.12.12

国立科学博物館で開催されている「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」に行ってきました。早稲田アカデミーはこの特別展に協賛企業として参加させていただいております。


早稲田アカデミーは「進学塾」ですから、お子様の「成績向上」「志望校合格」のために全力で指導しています。しかしそれだけではなく、お子様の未来に生きる力を育むため、その「学び」や「成長」につながる活動を積極的に応援させていただいています。国立科学博物館で行われる特別展への協賛も今回で3回目となります。昨年から今年にかけて実施された「鳥 ~ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統~」、今年の春に行われた「古代DNA―日本人のきた道―」、そして今回の「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」となっています。


先日の通常開館終了後、早稲田アカデミーの塾生とそのご家族のみをご招待した「特別鑑賞会」が行われました。私も同行させていただきましたが、参加されていたのは抽選で当選された方のみでしたので、とても贅沢な環境でご鑑賞いただけたと思います。


感想は「すごい!」の一言でした。正直に申し上げれば、今回のテーマについて、私は門外漢です。古生物や生命史については、中学受験や高校受験で出題されることはほとんどありませんから、そういった意味でも勉強したことはありません。「大絶滅展」という言葉についても、はじめは「今までに絶滅した生物が多く展示されているのかな」と考えているレベルでした。ただ、せっかく拝見するのだから少し「予習」を……と思って特別展のホームページを開いたところ、俄然興味が湧いてきました。観覧を検討されている方は、ぜひ事前にホームページをご覧になってみてください。


「大絶滅展」には、「生命史のビッグファイブ」という副題がつけられています。この「ビッグファイブ」に焦点を当てたのが、今回の企画展です。


生物の「絶滅」とは、ある種の生物の存在が地球からいなくなってしまうことであるのはイメージできると思います。あるタイミングで子孫を残さずにその種が消えてしまえば、それが「絶滅」ということになるわけです。近年も、そして現在でも、特定の種の「絶滅」は起こっています。日本で有名なところでは「ニホンオオカミ」「ニホンカワウソ」などでしょうか。環境省の「レッドリスト」をご覧いただくと、「絶滅種」「絶滅危惧種」などが記載されています。


しかし、生命史においては、通常の「絶滅」とは異なり、地球規模の環境変化などによって、短期間に75%以上もの分類群が絶滅したとされる現象「大量絶滅」が何度も起こっているそうです。そのうち最も大きな5回の「大量絶滅」が、「ビッグファイブ」と呼ばれているのです。


今回の展示会場では、その5回の「大量絶滅」が時代順に5つのエリアに分かれて展示されていて、その「大絶滅」で姿を消した生物や、その後に新しく生まれた生物の化石・標本などを見ることができます。そして、その「大絶滅」につながった要因(広範囲の火山活動や小惑星の衝突)などが詳しく紹介されています。世界各地域の地層などの写真も展示され、最新研究も詳しく解説されていました。


目を引く展示物もたくさんありました。デボン紀に生きていた大型の魚である「ダンクルオステウス」や、白亜紀の「トリケラトプス」「ティラノサウルス」の頭部のレプリカ標本は、お子様方が興味津々でご覧になっていました。また、ペルム紀末の絶滅の要因となったシベリアLIP(LIP=大規模かつ広範囲の火山活動)の溶岩流の実寸大模型などもその迫力に見入っていました。さらに、白亜紀末に恐竜が絶滅したきっかけとなった小惑星衝突の大画面CG映像は、お子様たちの心に一番深く残った様子でした。


私も迫力満点で感銘を受けましたが、同時に、それぞれの大量絶滅の要因となったきっかけやそこからの地球環境の変動についての研究が非常に興味深く、見入ってしまいました。大規模な火山活動が地球全体にどのような影響を与えたのか、そしてその環境の変化が生物種にどのような影響を与えたのか、そして絶滅した生物種の代わりに、次の時代にはどのような生物種が地球上に生まれてきたのか……そんなところを見ていました。


ビッグファイブの5回目は、今から約6600万年前。そこから現在まで、地球は多種多様な生物がすむ惑星となりました。しかし、第6回目の「大絶滅」が差し迫っているのではないかという研究もあるようです。過去の5回の要因は、火山活動や小惑星衝突などをきっかけとする「寒冷化」「温暖化」「海の酸性化」「オゾン層破壊」などの環境の変化でした。しかし、第6回目の「大絶滅」がくるのだとしたら、その原因は人類の活動による「地球環境破壊」なのではないか……という気がします。もちろん、これは私の想像に過ぎませんが、そういった問題意識をお持ちいただくためにも、今回の「大絶滅展」は大きな効果があると思います。


展示会場の最後には、「新生代に起きた生物の多様化」というエリアがありました。白亜紀末以降の生物の進化などについて展示されているエリアなのですが、そこに、世界初公開となる最古の「ステラーダイカイギュウ」の全身化石が展示されていました。この種が絶滅した要因には、「人類による乱獲」もあったといわれています。その標本を見ながら、未来を創るお子様方のことを考えていました。

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