『ブラッドムーン』
2025.09.10
9月8日(月)の未明に「皆既月食」が見られました。深夜帯でしたので、ご覧になった方は多くないかもしれません。私が担当している生徒たちのなかでも、「月曜日に学校があるから……」と諦めた生徒がほとんどでした。
「皆既月食」は赤黒い色で見えるため、別名「ブラッドムーン」と呼ばれます。「地球の影」に入っているのに、なぜ真っ黒にならずに赤黒く見えるのか……という点について、不思議に思われる方もいらっしゃると思います。調べてみたところ、太陽光が地球の大気を通過するときに、波長の短い光(紫や青の光)は拡散してしまうのに対して、波長の長い光(赤や橙の光)は月まで届くからだということのようです。ですから、「皆既月食」というのは、太陽がだんだんと「月の影」に隠れて見えなくなる「日食」とは違い、白く明るく輝いていた月の色がだんだんと、暗く赤くなっていく変化ということになるわけです。インターネットで調べてみたところ、9月8日の「皆既月食」をきれいに撮影した写真や動画を見ることができました。よろしければお子様と一緒に探してみるのもよいと思います。
また、最近はテレビのCMで「月見○○」という商品名をよく聞きます。ワイドショーでは「酷暑の影響でニワトリが餌を食べなくなってしまい、供給量が減ったため、卵の値段が高騰していた。秋になって気温が下がれば値段が落ち着くかと思われたが、秋からは『月見商品』が増え、需要量が増えるために、まだ当面の間は卵の値段は落ち着かないのではないか……」、そんな話をしていました。
「月見」といえば、やはり「中秋の名月」ということになるでしょう。秋は空気が澄んでいるために月が美しく見えること、また秋は夏より空の高い位置で月を見られることなどから、秋は月見シーズンとなっているそうです。
さて、「中秋の名月」とはどういう意味か、ご存じでしょうか。「中秋」というのは、実は中国からきている言葉で、旧暦の8月15日になります。月は「新月→三日月→上弦の月→満月→下弦の月→新月」という順番で変わっていきますので、「中秋(旧暦8月15日)」が毎年「満月」であるのを不思議に思われた方もいるのではないでしょうか。実は私も中学生時代にその疑問を持って、調べたことがあります。そもそも旧暦は「月の満ち欠け」を基準としてつくられているので、毎月「旧暦15日」は満月(もしくは非常に満月に近い状態)になるのが当たり前なのです。「十五夜」という言葉もそこからきているそうです。そして、旧暦の秋は7月から9月までなので、ちょうどその真ん中となる「旧暦8月15日」が「中秋」と呼ばれているとのことでした。
ですから、「中秋」は、現在一般的に使われているグレゴリオ暦では毎年日付が変わることになります。2025年の「中秋」は10月6日だそうです。昨年は9月17日でしたし、来年は9月25日になります。かなり日程に幅がありますよね。
最後にもう一つ、「月」の話題を。
近年、「スーパームーン」という言葉をきくことがあります。私が小学生のころにはなかった言葉だと思うのですが……。その年で一番大きく見える「満月」を「スーパームーン」と呼ぶのだそうです。そして一番小さく見える「満月」には「マイクロムーン」という名前が付いています。この、「月が大きく見える、小さく見える」現象の仕組みはご存じでしょうか。実は、非常に単純なのです。月の公転軌道は真円ではなく、楕円形になっています。つまり、地球に近いところを通るときと遠いところを通るときがあるわけです。ですから、一番近いところを通るときの「満月」が「スーパームーン」となるのです。
「スーパームーン」の語源を調べてみたところ、天文学ではなく、占星術から始まった言葉とのことでした。月のパワーを一番たくさん受けることができる日なので、この日に月にお願い事をするのがよいとか。今年の「スーパームーン」は11月5日だそうです。ちょうど小6受験生の授業がある日なので、「帰り道にスーパームーンに合格祈願を!」と話してみようと思っています。皆様もよろしければ……。
- 2025.09.10 『ブラッドムーン』
- 2025.09.03 『眠気と戦う!』
- 2025.08.29 『新学期スタートに向けて!』
- 2025.08.27 『受験生としての夏……』
- 2025.08.22 『早稲アカの「夏」! ~夏期合宿・夏期集中特訓が終わり~』