四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『時間効率を意識した学習を』

2025.09.12

先週から9月新学期の授業がスタートしています。例年だと「残暑が厳しい」といわれる時期ですが、今年は「まだ真夏の暑さ」といわれているようです。それでも、朝晩は秋めいた風も感じられるようになってきました。先日の夜、ベランダに出てみたら「虫の声」が聞こえてきました。いよいよ「勉強の秋」。早稲田アカデミーの校舎では、生徒たちのさらなるやる気を引き出す授業が展開されていきます。


小6受験学年の生徒たちにとっては、来年の入試まで残り5か月となりました。志望校へ向けた学習が加速していく時期となります。とはいえ、入試が行われるのは「来年」のことなので、まだ受験生としての実感が湧いていない小6生もいます。毎年、秋の小6オリエンテーションでは「夏が終わり、みんなはまだ半袖のTシャツを着ているけれど、もうすぐ涼しくなって長袖になるよね。そして、次に君たちが半袖を着るときには、もう中学生になっているんだよ。そのときにどこの中学校に通っているか……」という話をします。当たり前のことではあるのですが、具体的なイメージが思い浮かぶからか、生徒たちは少しはっとしたような顔になります。


この記事が公開されるのは9月12日の予定です。9月12日から、来年の2月1日までは「残り142日」となっています。単に「142日」という数だけを受験生に伝えると、「まだそんなにあるのか……」という顔をする生徒がほとんどです。そこで「学校が始まると夏休みのような『1日10時間の受験勉強』はできないよね。もし1日3時間の勉強を残りの期間で行うと……426時間!」という話をすると、顔色が変わる生徒が出てきます。さらに「1科目に使える時間は106.5時間、ということになる。入試過去問の演習で考えると、解く時間と直しの時間で最低でも90分はかかるね。もちろん、ここからの家庭学習は入試過去問だけをやっていればいいわけでもないし……」という話に続けていきます。入試までの残り時間を具体的な数字で示すことで、受験生としての意識をさらに高めていくようなイメージです。もちろん、小学校の授業がない土日や冬休みには、もっと学習時間を取ることもできますので、そういう意味では426時間は正確な数字ではないのですが……。


当たり前のことですが、受験生に残された日数・時間は「同じ」です。
残された「142日」で志望校への合格を勝ち取るためには、同じ学校を目指しているライバルに差をつけるような学習をしなければなりません。昔の大学受験では「四当五落」という言葉が流行ったことがあります。睡眠時間を削って受験勉強に勤しむことを表した言葉で、四時間睡眠ならば合格、五時間以上寝てしまうと不合格になる、というような意味で使われていたようです。もう今では死語になっている言葉です。睡眠時間を削って学習をしても、逆に定着度は下がってしまって、効果的ではないことも立証されているようです。小学生にとっては、高校生以上に睡眠が大切なものであるのは、ここで言うまでもないことでしょう。「ライバルよりも勉強時間を増やす」ということは、受験生の学習としては「現実的」なものではないのです。


私が受験生に話をしているポイントを一言で言ってしまえば、「学習効率を高める」ということに尽きます。同じ時間で学習できる「量」を増やす、というイメージです。よく使うのは「時間単位の学習密度を高める」という言葉です。受験までの日数・学習できる時間数が同じでも、その時間の中で「取り組む学習量」に差をつけることができれば、合格に近付くことになるはずです。先日、小6生の授業で「3時間勉強した生徒と5時間勉強した生徒では、どちらが合格に近付くか」という問いを生徒に投げてみました。多くの生徒が「5時間」と答えるのですが、「同じ学習内容だったら、3時間の生徒の方がいいはず」「集中して短時間で学習を進めることが合格に近付く道」というようなことを説明しました。


ただ、小6の秋になって初めて「時間単位の学習効率を高める」ことを意識し始めても、なかなかうまくいかないものです。小6の夏期講習会や夏期集中特訓で「受験生としての意識」を高めることができれば、秋からの学習に向かう意識も変わってくるのですが、より高いレベルで「効率のよい学習」を行うためには、非受験学年において「集中して学習に取り組む経験」を積んでおくことが必要になります。


小5までの非受験学年の場合、与えられている課題は(受験学年の秋に課される内容と比べれば)そこまで多くありません。その一方で、かなりの時間がかかっている(かけている)お子様も多いのではないでしょうか。場合によっては、机の前に「ボーっと」座っているだけで、実際には手も頭も動いていない、そんなケースもあるかもしれません。非受験学年の保護者の皆様にぜひお願いしたいのは、そういったお子様の状態をしっかりと見ていただいて、なるべく「効率の良い」学習スタイルに切り替えていっていただくことになります。まずは「学習時間の長さ」よりも、「学習効率」を意識していただければと考えています。

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