四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『本気でやる子を育てる ~401の想い出~』

2025.09.19

前回の記事で、早稲田アカデミーの創業社長である須野田誠について書かせていただきました。
いまから30年前、私が池袋本部校の校長をしていたときに、同じ建物に「社長室」がありました。現在は池袋本部校の「2号館」として使用している建物なのですが、その2階が、当時私が勤務していた「講師室」で、4階に「社長室」があったのです。私の机の上の電話で「内線」の呼び出し音が鳴ることがあります。そこに表示される番号が「401」であったときは、かなり緊張して受話器を取っていました。「社長室」の番号です。


「ちょっと時間あるか?」という社長室への呼び出しのこともありましたし、「今日、何時に終わる?メシでもいくか?」というお誘いもありました。要件が終わると、彼はいつも「最近はどうだ?」という問いかけをしてくれました。初めのうちは何を答えてよいかわからなかったのですが、そのうちわかってきました。一番気にしていたのは、「いま早稲田アカデミーに通ってきている生徒はどんな様子なのか、保護者様はどんなご要望を持っているのか」そんなポイントでした。そのポイントを外さずに返答すると、いつもうなずきながら聞いてくれました。


あるとき「社長室」に呼ばれていくと、「久しぶりに授業を持ってみようと思うんだが……」という話でした。早稲田アカデミーもある程度大きくなってきていたところで、「社長」という仕事も非常に忙しかった時期だったのですが、「だからこそ……」という話もしてくれました。「教室で生徒と直接授業をやって、いまの早稲田アカデミーの現場を肌で感じたい」、そんな話をしてくれたのを覚えています。相談をした結果、小学校3年生のクラスの国語を担当し、算数を私が担当することになりました。


彼はよく「なにか聞きたいことはあるか?」と聞いてくれました。いろいろな質問をした覚えがあるのですが、あるとき(たしか彼の運転する車の中だったと思います)、「『本気でやる子を育てる』ためには、どうしたらよいですか?」と聞いたことがあります。そのときには叱られました。「なにかをしたら『本気』になるという安直な考えではダメだ」と一喝されました。「まずは、生徒が本気で授業を受けているというのはどんな状態だと思う?」と聞き返されました。


話は横道にそれますが、彼はよく「福田はどう思う?」という言葉をかけてくれたのを思い出します。私が「〇〇ではないでしょうか」と答えると、「それは違う」「それもあるが……」という形で話が進みました。いったん考えさせてから、それに対して指摘をし、指導をしてくれました。私の考えや意見に対して賛同してくれることはほとんどなく、9割は「そこから教わる」ことが多かったと思い出しています。


「生徒が本気で授業に参加しているとき」について問い返されたときに私が答えたのは、「真剣に先生の話を聞いている状態」と答えた覚えがあります。それについて(考えてみれば当たり前なのですが)否定はされませんでした。しかし「そうだ、それもあるけれど、それだけでは足りない」と言われたのです。「真面目に授業に参加するのはもちろんだけれど、それ以上に子どもらしく『活き活き』としていなければならない」という話をしてくれたのです。「先生と生徒は『師弟関係』であるけれど、その関係の中で生徒が先生を信頼していれば、授業に参加して、勉強そのものが楽しくなる。それが『勉強を本気でやる』という意味」、そんな話だったと覚えています。言葉の端々までは記憶に残っていないのですが、「子どもの活き活きとした様子」という言葉が強く印象に残りました。


「本気でやる子を育てる」は、創立以来、早稲田アカデミーが大切にしている教育理念です。須野田はいまから16年前に逝去いたしました。急なことだったので、当時の私は大きなショックを受けました。そこから社長は何名かかわったのですが、歴代の社長もこの教育理念を大切に早稲田アカデミーを会社としても、進学塾としても発展させてきてくれています。


先日、ある校舎の授業を見てきました。小学校6年生の授業だったのですが、9月に入り「過去問演習」も始まっていますので、授業前にはその解き直しなどをしていた生徒もいました。「夏期集中特訓」でもらったハチマキをしめていた生徒もいて、受験生クラスの緊張感がありました。先生が笑顔で入室してきた瞬間の生徒たちの顔、あいさつ、とても「活き活き」していました。


「本気でやる子を育てる」授業や指導、早稲田アカデミーの校舎・教室で毎日行われています。

同じテーマの最新記事

2025.09.19 『本気でやる子を育てる ~401の想い出~』
2025.09.17 『50周年』
2025.09.12 『時間効率を意識した学習を』
2025.09.10 『ブラッドムーン』
2025.09.03 『眠気と戦う!』
資料請求はこちら
早稲田アカデミー